■CPVU-8レビュー 【1】ラジエター・ラジアル種別が見えにくいのでエレメント長をカタログで確認しました。テープを貼ってあれば良いと思いました。 【2】エレメント長は殆どのバンドがカタログ通りの長さでSWR1.2近くになりました。これもアンテゾチュウゾー併用製品と割り切っているので調整らしい調整はしなくても我慢できます。AT-180チュウゾーも無理なく同調してくれます。ただ短縮ANTですからバンドによっては全てをカバー出来ないのは仕方ないでしょう。 【3】3R5と7MhzのCW運用とUVHF帯の運用をしました。問題なく運用できました。使い易いマルチアンテゾと思いました。 ---------------------------------------------------------------- ■CPVU-8 使用方法: 7mhポール先端に取り付け
評価・感想: 多バンドでコンパクトなところは良い。
満足度: 当然のことであるがフルサイズダイポールに比べるまでも無く、受信レベルがかなり落ちる。Sメータで3~4 まあ辛抱できるレベル。
改善希望: ベランダで調整し、ポールに取り付けるとき8方広がりなので持ち上げにくくラジアルが曲がった。もう少し太いほうが良いのでは(台風対策?)。持ち上げる時(移動時)は折り畳みが出来て、持ち上げてから広げられるようにすればポータブルとしても需要が見込めるのではないでしょうか?
調整について: 各バンドごとに中心周波数をエレメント上で、ある程度わかるようにマークしておいて欲しい。 機器や要素により変化することはわかるが上げてから調整は出来ないし、下ではずれるので・・・
---------------------------------------------------------------- CPVU-8スペシャルレポート しげさん(JI7IMG/1 and JH1IXQ)ありがとうございます。
レビューの内容が多岐に渡る為、OMさん向け内容と、そのまま読み戴ければ、YMさんやアパマンハムの方等も参考になる様に書いて見ました。 ------------------- 当局の使用環境 ------------------- RIG:YAESU FT-897DM FP-30A内蔵 ATU:YAESU FP-30 SWR:ダイヤモンド社製 SX-600 HF-50/144-430 デュプレクサー使用 ANT:地上高8mH(木造平屋建てトタン屋根+3.8mマスト使用) 21~50は、設営時が正月でHFハイパントのOFFシーズンと言う事も有り、動作テストはSWR計測とローカル局とのSSB及びFMテストのみですが、ローカル局とのテストQSOは、59フルスケールでレポート交換が出来て居ます。 ------------------ OMさん向け内容 ------------------ 【アンテナ仕様】 HF帯(3.5/7/14/21/28(29FM)/50) 1/4λ 6バンドGP 144MHz帯 1/2λ一段GP 430MHz帯 5/8λ二段GP 全長:2.7m 【実際の使用感】 『144MHz帯/430MHz帯』 このバンド帯のアンテナ動作は、ノンラジアル型GPです。アンテナのHF用ラジアル/ラジエータを外した状態でも正常に動作します。(メーカー保証の内容でないので自己責任で動作確認されて下さい) 組立時、本体に各種エレメントを取り付ける前に、V/UHFの動作確認の意味でも行われると良いです。このアンテナ動作については、CQオーム社様よりメーカに確認を取った上でこの書き込みを行って居ます。詳しくは、文末に明記致します。 アンテナの感度としては、モービルホイップを固定で使用して居る程度の感度です。 特に2mは、モービルホイップの方が中には感度の良いアンテナがあると思う位です。 FT-897シリーズは、若干シグナルメータが重い傾向にあり、V/UHF SSB DXを楽しみたい方は、物足りないくらいです。(私は過去に2m SSB 国内DXを3段GPで運用した経験が有ります) 『HF帯~50MHz帯』 HF帯は、フルサイズダイポールを基準にすると、Sメータで-3~-4と言った感じです。 3.5MHz帯と7MHz帯は、短縮率の高いアンテナの為、アンテナ選択計画の段階で、他のインバーテットV型ダイポールや、ナガラのバーチカル等を選択できるのであれば、そちらの方が断然良いと思います。 このアンテナを選択する場合、アンテナマッチング調整をシビアに行う事により、FP-30 ATUでは、次の範囲でQRV出来て居て、3.5MHzも7MHzも受信は悪いけど、送信はそれなりに安定して行えて居ます。 SWRで3以下を今回の測定値として居ます。FP-30では、アンテナの物理的マッチングは取れませんが、SWR値が下がり、リグの保護回路が働かないで運用できるギリギリの範囲であるので、測定値をSWR3以下と致しました。 ここで指すマッチング周波数は、アンテナ調整でATUをスルー状態(OFF)の状態で、一番SWR値が下がった状態です。私はSSBとFMでQRVしようと思って居たので、各バンドの非常通信周波数及びビーコン周波数よりも若干高めにマッチングを取りました。従って、バンドの中心周波数では有りませんのでご注意下さい。 この範囲はメーカーがATUを使用しないで運用可能とする範囲を超えて居ますが、ATU併用でのSWR値で、この範囲を超えた使用ができない範囲です。 3.5MHz帯 バンド幅 3.500kHz ~ 3.575kHz 75kHz マッチング周波数=3.560kHz(SWR = 1.9) 下側 3.530kHz(SWR = 1.1) 上側 3.575kHz(SWR = 1.1) 運用可能幅 = 45kHz 7MHz帯 バンド幅 7,000kHz ~ 7,200kHz 200kHz マッチング周波数 = 7,056kHz(SWR = 1.1) 下側 7,030kHz(SWR = 1.4) 上側 7,180kHz(SWR = 1.8) 運用可能幅 = 150kHz 21MHz帯 バンド幅 21.000kHz ~ 21.450kHz 450kHz マッチング周波数 = 21.220kHz(SWR = 1) 下側 21.040kHz(SWR = 1.1) 上側 21.430kHz(SWR = 1.1) 運用可能幅 = 390kHz 29MHz帯(FM用) バンド幅 29.00MHz~29.7 700kHz マッチング周波数 = 29.28(SWR = 1) 下側 29.05MHz(SWR = 1.3) 上側 29.58MHz(SWR = 1.3) 運用可能幅 = 0.53MHz(530kHz) 50MHz帯 バンド幅 50MHz~54MHz 4MHz マッチング周波数 = 51.02(SWR = 1.2) 下側 50.00MHz(SWR = 1.1) 上側 51.86MHz(SWR = 1.4) 運用可能幅 = 1.86MHz(1860kHz) ここまで書いておくと、OMさんは運用イメージが掴み易いかと思います。 実際に設営時は、マッチング周波数で説明書の基準エレメント長さで合ったバンドは7/14/21/50の4バンドで、1cm以下の微調整でほぼ整合しました。 29FMは、ラジエータが目的の周波数に合わなかったので、エレメントを3cm程度ペンチで切断し、更にラジアル調整を行いました。 3.5MHz帯は、ラジエータのエレメントを約5cm切断、ラジアルも5cm切断、先にラジエータでマッチングが取れるまで、エレメントを縮め、マッチングが取れ始めてから、ラジアルを同程度まで調整すると上手く行きました。 -------------------- アパマンハム向け -------------------- OMさん向けの内容に引き続き、アパマンハム向けの内容を書かせて戴きます。 このアンテナはメーカーの動作保証の対象外となりますが、ワンサイドラジアルの対応アンテナです。 全長2.7mと言う長さは、ベランダにアンテナを設置する際は十分にベランダ内、及び手すりから突き出し型のマストベースを使用すると言った方法で設営ができるのはとても魅力的だと思います。 この時、ワンサイドラジアルになるとエレメント調整は難しいでしょう。 SWRメータの他、過去に自作のGPアンテナやダイポールアンテナの調整を行った事がある人でないと、これ以上の事はお勧めできません。 値段も高価なアンテナですので、手が出難いと思いますが、アパマンハムですと、ベランダの高さの範囲で全てのラジアル・ラジエータの調整が手軽にできるので、OMさんであれば、自分で調整できると思います。 ---------------------------- YMさん及びニューカマー向け ---------------------------- 設営の手順を大まかに書いておきます。 『アンテナの設営場所選び』 他の電気通信設備に影響を与える事があるので、アンテナの建てる場所をまず選ぶ際、自宅周囲の電線の種類を調べましょう。 ケーブルテレビ、NTT、有線放送等が配線されて居る場合は、インターフェアの原因となるので、これらの配線からできるだけ離す事ができる場所を選びましょう。 『場所が決まったら、設営時のアンテナの高さ選び』 近隣のUHFアンテナ、及びパラボラアンテナの高さよりラジアル(下側の横に出ているエレメント)が上になる高さを調べて、必要なマスト(アンテナを支える棒の事)の高さを割り出します。 この二つの条件の合う場所を探すのは、一軒家で設営する場合です。アパマンの場合は、これらの条件に合わない場合は、別な運用方法を選んだ方が無難です。 ラジアルを近隣のアンテナの高さより高くするのは、144と430のインターフェアを防止する為です。私の場合は、ケーブルテレビとお隣のお宅の地デジアンテナが私が建てるアンテナの方角に向いて居る為、テレビの受信機能破壊を防止する為でも有ります。 『ラジアルエレメントを説明書の基準長さで全て組む』 これは、mm単位でできるだけ正確に行いましょう。ここまでできたら、仮設営します。 高所に設営するので、リハーサルを行う事で、組立手順を確認する意味でも行うと良いでしょう。それとマッチング周波数にエレメントを調整をする為です。 ここで、文末をお読み下さい。 理想は、できるだけ設営する条件と近い条件下での調整が理想ですが、足場の悪い場所での設営後のエレメント調整は出来ません。先にエレメント調整をできるだけ正確に行います。 この作業だけで、約3時間は要します。私は、電気工事の仕事をしている土木作業員で1人で地上で仮組・調整の繰返しを行い、1人で全て上げましたが、慣れてないと丸二日は要する難作業です。できれば、二人以上で仮組から行う様にして下さい。アパマンですと、ベランダ設営は1人でもできると思います。 そして、実際にSWRメータを用いて、何度も何度も調整して下さい。 『本設営の準備をします。』 本設営の条件で、調整済みのエレメントで一度上げて見て下さい。この時、アンテナマストの真下+3m位の5D-FBを用意すると良いです。私は、マスト長3.6mを1人で上げたので、7mの半端な長さを敢えて用意し、本設営の状態で再度SWRチェックを行いました。 この時のチェックが一番重要です。上げてからの修正ができなくなります。 窓すり抜け用ケーブル等を利用する場合は、これらも組み合わせた配線でケーブルだけを真っ直ぐ伸ばした状態でテストされる事をお勧めします。私はこれをやらなかった為、一度完全に上げた状態で、3.5MHz帯が狂って居る事に気がつかず、一度アンテナを下して調整し直す失敗をしました。ケーブルは束ねた状態ですと、インピーダンスが狂う為、伸ばした状態で配線しないと正確な整合が取れません。また、私の設営環境では、トタン屋根が ラジアル、若しくは反射器の役割となってしまう事も失敗要因として考えられます。 これでマッチングが正確に行われて居れば、一度アンテナを下し、通常使用するケープルとアンテナを接続し防水処理を施し、改めて設営します。マストの長さ等ではマストごと倒すと言った配慮が必要となるので、5尺程度の脚立等があるとエレメントをつけたまま倒す事ができるので便利です。 ------------------------------------ 高度な知識を持った方 及び自作アンテナを経験した方向け ------------------------------------ エレメント調整を行うと、HFローバンドはエレメント調整ができなくなりました。 私は、3.5MHz帯でこの状態になり、まずラジエータの長さを最大限、最小限の状態で周波数の変動とマッチング場所を探します。勿論、アマチュアバンドの中で探すので、この時に最上限若しくは最下限付近でSWRが下がり出す様でしたら、最下限付近では、エレメントをペンチでラジエータの飲み込み分を切ります。こうすると、エレメントが短くなるのでマッチング位置が徐々に上がります。その上で、またエレメントの最小限の位置でSWRを計りながら、バンドを幅を移動させます。そうすると、約5cm程度エレメントを切断すると、整合点が見つかる事があります。その時の長さ分のラジアルを短く調整すると、上手く整合します。従って、ラジアル側もエレメントを切らないとダメな場合があります。 --------------------- 文末で書きたい事 --------------------- このアンテナは、非常に短縮率が高く、また高性能なアンテナです。それが故、私は設営時の動作テストを行った際、144MHz帯と430MHz帯のSWRが以上に高く正常に送信できないトラブルが御座いました。私は、アンテナ設営でラジアルの長さを勘案すると、一度仮組して動作テストを行ってから本設営した方が無難だなと思い、敢えて仮組と言う手順を踏みましたが、この作業が結果的に正しい手順でした。 理由は、最初に届いたこのアンテナは初期不良製品だったのです。電波は非常にデリケートなもので、製品上の性質柄、アンテナの動作確認は上げてからでないと解らないと言った側面がトラブルを未然に防ぐ事が出来ました。 HF帯や50MHz帯は、ラジアルやラジエータがあるので、アンテナの動作はコイルの短縮率の違いでインピーダンスで切断されると言った事が解るのですが、初期動作不良は、私はHF帯のラジアルをつけて居ないからかなと思った程です。 メーカーさんの努力も申事ながら、何よりもCQオーム社様の迅速丁寧な対応で、アンテナ動作の確認が取れ、代替え品を即座に送付して戴き、無事にアンテナを設営する事が出来ました。 そして、この様な長文のレビューを書いた最大の動機は、このアンテナのメリット・デメリットを勘案すると、どちらかと言うと初心者やYMさんには難易度の高いアンテナにはなりますが、HF帯、2m/430 SSB等、アマチュア無線で長距離通信の入り口を体験するには、とても良いアンテナだと思います。どのバンドも決して良い感度では有りません。でも、リグとの組み合わせで、FT-897、FT-857,FT-817と言ったオールバンド、オールモード機を固定や移動で使用するには、入り易いアンテナです。 3.5MHzでは、冬の夜間にのんびりとした国内QSOが聞こえます。 7MHzは、いつも人気のあるバンドです。 21MHzから50MHzは、気がつくと海外に拾われます。 144/430は、国内長距離~ローカルラグチューまで楽しめます。 その為、コストは高いですが、入り口としてはとても楽しめるアンテナでも有りますので、敢えて設営手順も踏まえて書かせて戴きました。設営は、これ以外にも要素がありますから、その分野(例えば引込方法)の知識等も必要です。それでも設営が完了して、自分の出した電波が思った以上の長距離通信ができた時はとても嬉しく感じられると思います。 サポート体制も良く整って居るので、難易度の高いアンテナでは有りますが、安心して設営されて下さい。 最後になりますが、この度の協力体制ではCQオーム様の皆さんのお力添え誠に有難う御座いました。
---------------------------------------------------------------- 追記 ---------------------------------------------------------------- 2015年1月14日の関東地方を直撃した爆弾低気圧で雪が降ったので、気がついた事として2点挙げさせて戴きます。
1.積雪地方では、越冬時は、HF帯の全エレメントを収納した方が良いでしょう。極論を書くと、3.5MHz帯のラジエータのみ残して、他のラジエータ・ラジアルは外して、144/430用ノンラジアルGPとして使用した方が無難です。
3.5MHzのラジエータを残す理由は、3.5MHzのラジエータ接続部の導線が露出して居り、これを覆う様に防水措置が取られて居る為、外しての使用はアンテナ・リグの破損を招きます。エレメントのみを外すと後で利用する時、調整が面倒になるので、3.5MHzのラジエータを残すと良いと思います。
関東地方を直撃した爆弾低気圧では、全HF帯のSWRが狂いました。理由は、積雪と書けば簡単なのですが、実は積雪だけと簡単に書けません。エレメントの先が丸く仕上がって居る為、エレメントが雪の重みで垂れ下がり、特に3.5MHz/21MHz/50MHzのラジアルが50cm以上と長くエレメントの先が丸く仕上がって居て、雪止め状態となり長時間に渡り雪が落ちない事が解りました。
関東地方程度の雪では、このまま凍結しても、翌日には消えるので心配有りませんが、積雪地方では、エレメントの先端が丸く加工されて居るので、エレメントの周りに更に雪がつららの様に固まる事もあるので、雪の重さでエレメントが必ず曲ります。
エレメントは、かなり撓(しな)りがあるので、関東地方程度の雪では、風や外気温で落雪するので心配ありません。
2.積雪があると、ラジアルの短縮コイル上部に雪が積もり、その結果、アンテナの短縮コイルが動作しません。これは、雨の日も同様で、撥水効果のある防水スプレーやグリスをウェスに染み込ませ、短縮コイル部分やエレメント部分の錆防止に添付すると良いでしょう。 |