株式会社JVCケンウッドは、ケンウッドブランドより、GPSユニットを内蔵し、本格的なAPRS(Automatic Packet Reporting System)※1運用をより身近にした、144/430MHz FMデュアルバンダー「TM-D710G」シリーズを11月中旬より発売します。
※1:1992年にWB4APR(Mr. Bob Bruninga)が開発して以来、世界中で数万人のユーザーが使用している位置情報、英文字メッセージ、気象情報などのやり取りが可能なデータ通信システム。
●企画背景と製品の概要
当社は、早くからAPRSをはじめとする無線とGPSデータ通信の融合に取り組み、国内向け無線機としていち早くAPRS機能を内蔵したモービル機「TM-D710」シリーズ(2007年8月)を発売しました。続いて、GPS内蔵のハンディー機「TH-D72」を発売(2010年12月)し、本体のみでAPRS運用が開始できる手軽さから好評を得てきました。
今回、「モービル機においてもGPSの接続を容易に行いたい」というユーザーからの要望を受け、GPSユニットを内蔵し、APRSを気軽に楽しんでいただけるモービル機「TM-D710G」シリーズを発売します。
「TM-D710G」シリーズは、従来より好評の「TM-D710」シリーズをベースに、操作パネルにGPSユニットを内蔵することで、本格的なAPRS運用を本機単体で可能となりました。
さらに、これまでと同様にデータ通信システム「NAVITRA -ナビトラ※2」や、EchoLink※3 Sysopモードに標準対応し、144/430MHz帯アマチュア無線機を使った新しい運用スタイルを提案します。
※2:GPS受信機で受信した位置情報と文字データを、アマチュア無線機を利用し相互通信できる日本向けシステム。
※3:VoIP(インターネット経由の音声通信)を利用してアマチュア無線を中継するシステムの一種。
●「TM-D710Gシリーズ」の主な特長
1.GPSユニットを内蔵
移動局でのAPRS運用向けに、GPSユニットを操作パネルに内蔵しました。本格的なAPRS運用が本機単体で可能です。GPSロガー機能、マークウェイポイント機能、ターゲットポイント機能、自動時刻補正機能なども搭載し、GPSを使った運用の可能性を広げます。
・GPSロガー機能
最大5000ポイントの位置情報を本体内蔵メモリーへ保存できます。保存するタイミングは、時間間隔、移動距離、ビーコン 送信ポイントの3種類の中から指定が可能。また、メモリーコントロールプログラム「MCP-6A」※4でGPSログ情報をGoogle EarthTM地 図サービスに対応したkmlファイル形式に変換できます。
※4:「MCP-6A」は、2013年11月中旬よりケンウッドWebサイトにて無償ダウンロード開始予定です。
・マークウェイポイント/マークウェイポイントリスト(100件登録可能)
現在位置の地点情報(緯度、経度、高度、時刻、ネーム、アイコン)をワンタッチで登録することが可能です。マークウェイポ イントリストでネームとアイコン情報の編集も可能です。
・ターゲットポイント機能
目標地点(最大5つまでプリセット可)までの距離と方角をリアルタイムに表示します。方角表示はノースアップ(北上)に加 え、分かりやすいヘディングアップ(進行方向上)へもワンタッチで切り替え可能です。
・グリッドスクウエアロケーター表示機能
自局位置のグリッドスクウエアロケーターを表示することが可能です。
・自動時刻補正
各種運用に必要な内蔵時計はGPSデータを使い自動補正します。
2.データ通信システム「APRS」を標準搭載
APRS開発者であるBob Bruninga(WB4APR)氏の協力により、APRSに対応したプログラムを開発。このプログラムとGPSを本体に内蔵※5することで、PCを必要としない手軽なAPRS運用を可能にしました。位置情報、方向/距離、気象情報などの情報を共有しメッセージの交換も可能です。
※5:外部GPSユニットの使用も可能。
3.データ通信システム「NAVITRA -ナビトラ」にも標準対応
受信したナビトラのパケットデータはAPRSパケットデータと同じステーションリストで扱われますので、最大100局まで保持します。ビーコンには、位置情報の他にカタカナ、英数字、記号で最大20文字のメッセージを埋め込み送信することができます。
4.AX.25準拠1200 / 9600bpsパケット対応TNC内蔵
AX.25準拠のTNC(Terminal Node Controller)を内蔵し、本体のみで本格的なAPRS、ナビトラの運用が可能 です。またPCに直接接続すれば、1200/9600bpsのパケット通信、IGate局の運用等が可能です。
5. EchoLink Sysopモード機能で、ノード局を運用
本機と、EchoLinkソフトウェアをインストールしたPCと接続してEchoLinkのノード局を簡単にセットアップで きます※6。IGate局やデジピーターとEchoLinkのノード局との同時運用も可能※7です。
※6:接続にはオプションのPC用ケーブルキット「PG-5H」が必要です。
※7:パケットモードで内蔵TNCとパソコンとを接続する場合は、EchoLink Sysopモードで使用する「PG-5H」のほかに、シリアル通信ケーブル「PG-5G」も必要です。
6.ノード局に簡単アクセス、EchoLink メモリー
最大10個のEchoLink専用DTMFメモリーに、コールサインとノード番号、制御コマンドなどを登録することがで きます。また、コールサイン・DTMF自動変換機能により、“Connect by call”や“Query by call"も簡単な操作で行うことができます。さらに、「MCP-6A」でEchoLinkメモリーの管理も可能です。なお、無線機からEchoLinkのノード局にアクセスするだけの場合は、専用ソフトウェアやコールサインの登録は必要ありません。
7.大型セパレート式パネルで操作性が向上
操作性と設置自由度を重視したセパレート式の大型パネルは、各キーの機能を液晶に表示させることにより、 多彩な機能へすぐアクセスできます。車載用にはパネルアングルを、卓上用としてはベーススタンドを使用した 設置台と、2種類のパネル設置台を同梱しました。大型周波数表示は、フルドットマトリクス液晶を採用しLCD バックライトは、2色から選択可能です。
8.同一バンド内2波同時受信(V×V、U×U)機能
144MHz帯と430MHz帯の2波同時受信機能に加えて、同一バンド内の2波同時受信機能を持っています。
9.メモリーコントロールプログラム(「MCP-6A」)対応
メモリーコントロールプログラム「MCP-6A」を使えば、PC上でメモリーチャンネルやAPRS/ナビトラ、EchoLink各種 機能の設定、カスタムスタートアップ画面などのデータ作成・編集・管理をすることができます※8。PC接続用端子は、本体背面、パネル背面の2箇所あり、運用スタイルに合わせて使用できます。
※8:PCとの接続にはオプションの「PG-5G」または「PG-5H」が必要です。
10.ワイドバンド受信機能に空線信号キャンセラーを3波搭載
118~524MHz、800~1300MHzの広帯域受信機能を搭載。さらに、鉄道無線受信時に役立つ、3種類の空線信号キャンセラーに対応。
11.音声合成ユニット「VGS-1」(オプション)によるボイスガイド/ボイスストレージ対応
オプションの「VGS-1」を装着すると、キー操作を音声アナウンスにより確認できます(APRSメニューの内容も読 み上げ可能)。またボイスメッセージや30秒までの常時録音も可能です。